めちゃくちゃなこと言うけど、銀杏BOYZが好きって恥ずかしくないですか?
少し物事を考えてる人なら手放しに銀杏を褒めることってなくて大体「好き、だけど歌詞は好きじゃないよ」「好き、だけどファンは好きじゃないよ」「好き、だったよ昔は!」そんな言い方をする人が多い気がする。()付きで注釈をつけないと好きと言えない音楽。
かく言う私も()をたくさんつけたくなっちゃう。それを口頭で銀杏の話題出た時にいうのはめんどくさいヤツすぎるから、ここに書く。
根深い問題がいろいろあるよね、ほんと、もはや銀杏の純粋な音楽性を離れて、銀杏に取り憑かれるめんどくさい私たちをどう解釈すればいいのかという問題になっている。
銀杏の解釈=自分の自意識、青春等々の解釈になってる節があって、だから銀杏好きたちはパブリックイメージで解釈されては困るとせっせと自分ならではの説明をする。
という前提の上で私の思う銀杏BOYZというのは〝コントロールの効かない本能的な自分と止まらない思考で満たされた自意識の乖離を受け止める苦しみと真摯さ〟を表現する音楽だと思っている。
ドギツイ表現が多いけど、ドギツイ描写自体を肯定しているわけではない。ドギツイ描写たちはその内容に意味があるのではなくて〝理性と反して自分を左右してくるどうしようもないもの〟を表現していることに意味がある。
だから童貞じゃなきゃ理解できないとか女じゃ理解できないとかほんとナンセンスだと思います。童貞は象徴でしかない。
このあたりは私がグミチョコレートパインをバイブルにしている理由と重なるんだけど〝本能が理性を食ってしまったら怖い〟そう思うことって性別に関わらずありませんか?
自分を忘れてしまったら情けない
本能が理性を食ってしまったら怖い
恥をかきたくないから君のことも忘れる
とけた、夏 / yonige
異性に対する熱烈な恋心とか性欲とかって理屈じゃないでしょ本能的でしょ。それでいてかっこ悪い、気持ち悪い、整合性がとれない。
そんなのが自分の好む好まざるに関わらず、普段理性と理屈で生きているはずの自分に奇襲してくるなんて恐ろしくないですか?
私は恋愛脳でも性欲脳(!?)でもないけど、本能が理性を食ってしまう、というか本能に太刀打ちできない理性にやるせなくなることはある。めちゃくちゃ気持ちわかる。
だってさ、急に不安になってイライラして「なんだろう、何か理由があるはずだ、探せ、考えろ、あぁこういう理由かもしれない。それならなんだ、どうすればいいんだ。」なんて、考えても数日後「あれーこれは周期的に訪れるホルモンバランスの乱れが原因だったのでは?^_^」なんてなった日にはやるせなさすぎるでしょ。
私は数字のことよくわからないけど、パソコンのウイルスでトロイの木馬ってあるよね。
普通パソコンがおかしくなるのは変なファイルとかダウンロードしちゃってウイルスに〝感染〟するから。だからいつもと違うものが入ってこないか監視するソフトがある。
でもトロイの木馬っていうのは正常なソフトを装って〝元から〟ウイルスが仕込まれてる。正常に誤動作を起こす。だから監視ソフトが感知できない。
トロイの木馬の名前の由来はギリシャ神話で木馬の中に兵士を忍ばせて敵の城の中に入った後に兵士が出てきて騙し討ちされちゃった話からきてるみたい。
これらの話は森博嗣の『すべてがFになる』の受け売りなので間違ってたらごめんなさい。
重要なのは〝正常に誤作動を起こす〟という点。
私たちは正常に誤作動を起こす。
性欲とか病気じゃないじゃん。喘息とか生理とか病気じゃない。健康な自分に元から備わっている。正常な自分の一部。
なのにそれが受け入れられない、それとうまく付き合っていけないってことで悩んでしまう。
思春期特有の全能感ってやつで空回りする頭を働かせて、自我というものが存在して、自分は自分の考えで生きていると思いたいのに。
結局わけのわからない本能や誤作動の上でしか自我というものは存在し得ないし自分というものは思考だけでは成立しない。
その現実に直面したとき、ときに私たちは都合の悪い本能を自分から切り離そうとしてしまう。病気ってことにしたり、本能をないことにしたり、逆に本能に完全に身を任せて理性を諦めたり、強引な方法で。
でも、どんなに男の側から語られる作品が好きでも女は女であることに変わりない。どんなに素晴らしい考えを持っていても寝起きは機嫌悪いとか月末は肌荒れがちみたいな性質は変わらない。どんなに恵まれていても不安になるのはしょうがない。
それをきちんと受け止めた上で、みないふりするんじゃなくて、諦めるんじゃなくて、そのまんまで進もうとする。
私はそういう過程を銀杏BOYZにみている。だから銀杏BOYZの歌詞が好き。他の青春パンクと違って曲にニルバーナ感あるし歌謡曲の影響でメロディがしっかりしてる、から好きなだけじゃない。
女性を主語に同じことやってるのが大森靖子だと思っています。
椎名林檎も歌詞という点ではわかりにくいかもしれないけど、同じことを音楽で表現しようとしていること、本人が明言していました。
だから女じゃないとわからないとか男じゃないとわからないとかありえないんだ、
銀杏好きは下品なアバズレだけじゃない。
そういうことをぐるぐるかんがえていたら一瞬で今日が終わっていく...むり...